国際学術交流事業補助金受領者の報告

上田 裕子(千葉大学工学部電気電子工学科)

 このたび国際交流事業の補助を受けて、昨年12月11日から15日に San Francisco で開かれた AGU Fall Meeting に参加させて頂きました。私にとって AGU の regula r meeting は初めて、また海外での学会、シンポジウムに参加するのも3年ぶりのこ とであり、このような貴重な機会を与えて頂いた学会および関係者の方々に心から感 謝申し上げます。

 私はこれまで、密度不均一が存在するプラズマ中における upper hybrid 波の励起 機構として提案されている direct conversion と呼ばれる機構を粒子モデル計算機 実験によって検討してきましたが、今回はその中間報告というつもりで発表を行ない ました。これは電離層加熱実験の際に観測される非線形波動の励起機構に密接に関係 する可能性があると考え、研究を行なってきました。この発表に対して、実際に電離 層加熱実験に関わる研究者などから有益な意見、情報を頂くことができました。

 けれども私にとってはそれ以上に、非常に良いタイミングで地球科学の幅広い分野 にわたる発表、講演を聞く時間が得られたこと自体が、大変に有意義だったと感じて います。というのも昨年中は、30歳をとうに過ぎて見習い研究者を卒業しなければな らない状況で、これまでの仕事を振り返り、自分に与えられた能力と立場でこれから 何ができるのか、何をするべきなのか、漠然と考え続けていましたが、日常を少し離 れて大勢の研究者の仕事ぶりに接した1週間が良い刺激となって整理がつきはじめた ように思います。日本からも多くの“常連”の方々が参加するこの学会ですが、私に とっては新鮮であったことが幸いでした。このような学会、国際会議に次に参加する 時は、また新鮮な気持ちで臨むことができる時期を選びたいと思います。

 ところで今回最も印象に残ったことのひとつは、幅広い分野から非常に多くの人が 集まる大規模な学会の利点でした。たとえば、計測器やソフトウエアと並んでいくつ もの出版社の充実した書籍展示ブースが設けられ、お客も途切れることがないように 見受けられました。これも数千人もの参加者があってこそのことでしょう。日本でも 今春、大阪大学で開かれた合同学会で2,3の出版社の出店がありましたが、引続きよ り充実したものになるよう期待しています。また、2日目にポスター会場で行なわれ た地球惑星科学教育におけるハイパーメディアの応用に関するセッションも興味深い ものでした。ここでは気象、地震、地質学など分野は様々ですが HTML などを用いて 作られた教材の解説、デモンストレーションが多数行なわれていました。日本でも研 究以上に教育に時間を注いでいる方も多いはずで、教育方法や教材の工夫というよう な仕事を専門の研究者の中で発表する場が与えられれば、より実り多いものになるの ではないでしょうか。大規模な故のマイナス面も無視はできませんが、プラスの面も 大いにあることを実感しました。

最後にもう一度、本学会国際交流事業によりこのような貴重な経験ができたことを 感謝し、今後も多くの若手研究者が活用されることを期待致します。