大林奨励賞を受賞して


横山由紀子(職業能力開発大学校)

この度は大林奨励賞をいただき真にありがとうございました。受 賞対象となった「数十年スケールの地磁気変動の研究」は、学生時 代の指導教官であった行武毅先生からドクター論文のテーマとして 「地磁気 60 年変動」というのをいただいたのが始まりです。関係 論文の多くも行武先生との共著であり、この度の受賞については行 武先生の厚いご指導の賜と思っております。さらに、研究中に有意 義な議論やコメントをいただいた方々、励ましの言葉をかけてくだ さった方々にも深く感謝いたします。また、お忙しい中を新しい賞 の立ち挙げにご尽力された先生方、本当にお疲れさまでした。

さて、地球内部磁場の数十年変動ですが、始めは前述のように 60年 というタイムスケールを調べることから始まりました。しかし、調 べていくうちに 60年以外にも 20-30年程度の時間スケールがあ り、単なるバイモーダルではなく、かなり性質の違った現象である ことがわかってきました。また、偏芯双極子のテセラル成分が蛇行 した軌跡を持つ変わり種であること等もわかってきました。さらに 研究を重ねるうちに、これらの磁場変動が地球回転の赤道成分であ る極運動と深い関わりを持っていることがわかり始め、研究対象は 広がっていきました。この一連の研究をまとめたのが、「数十年ス ケールの地磁気変動の研究」ということだと思います。しかし、 数十年という時間スケールであることから、使用できるデータに 限りがあり、このテーマには少し休憩してもらおうかと思っていた ところでした。今回の受賞はちょうどその区切りにもなったかとも 思います。ただ、赤道双極子に数十年変動が見られない、偏芯双極 子のテセラル成分の位相が 1940年頃に逆転する等の謎は依然とし て解けないまま残っていますので、何かアイディアを思いついたら また始めるかも知れません。また、古地磁気で測られる時間スケー ルの現象にもひょっとしたら共通する特徴が見られるかもしれない と考えていますので、この方面からのアプローチも機会があればや ってみたいと思っています。

現在は、 SGEPSS からちょっとはみ 出したような領域ですが、極運動に興味を持っており、その解析の ために、励起源のある線形システム応答の解析方法を新たに開発中 です。つまり、非定常な時系列を解析する方法です。始めは、単な る道具として開発を始めたのですが、あたりまえのことですが、時 系列解析というのは物理方程式の記述なのだということがわかりか け、その哲学性にも魅せられれるようになってきました。そんなこ んなでこのテーマは今では結構気に入っています。さらに、このよ うな方法を応用できるデータが地球物理分野にはたくさんあり、お もしろ半分にでも解析すると思わぬ結果が出てくることもあります。

この他にもいろいろと興味は広がっていきますが、反面、少し落 ち着いて仕事をしなければとの反省もあります。反省しながらも学 習はなかなか進まないのですが、皆様にはこれからもよろしくご指 導、おつき合いを賜りますようお願いいたします。