行武毅会員は多年にわたり本学会の会員として運営委員・評議委員・会長・GG 編 集委員などを歴任され、学会の発展に多大の功績を残す共に、 地球電磁気学の研究と教育に尽力してこられた。研究の面では、地球磁場の永年変化 、地球内部の電気伝導度構造、電磁気学的手法の地震・火山 噴火予知への応用など、広い分野で国の内外の主導的役割を果たす大きな成果をあげた。
地球磁場の永年変化に関しては、行武会員は世界中の観測データをもとに地球磁場 変動を球面調和解析する手法を一般化して、磁場変動を局所 的なものではなくグローバルな現象としてとらえ,地球磁場の非双極子成分の変動が 空間的に移動する成分と停滞している成分とに分離すること ができる事を初めて明らかした。これは磁場を生成する核内部の流体運動の様子と核 -マントル境界の相互作用などを考察するための手掛かりを 与えたものである。
また行武会員は、日本列島下の電気伝導度構造を調べる目的で、全国の研究者に呼 びかけて地磁気変化・ 地電位差変化の共同観測を長年にわ たって主導してきた。このような共同観測・研究は、従来からの地磁気3成分の変化 に加えて、地磁気・地電流法(MT法)や地電位差の観測が 1980年代に導入されて,特に大きな発展をとげた。こうした観測では海の影響を どう評価するかが最大の問題だが、この解決のために、海底 磁力計や海底電位差計などのわが国での開発において主導的な役割を果たした。この ほかにも国内外の共同研究を数多く遂行 して、地球電磁学の 研究推進に指導的役割を果たしてきた。特に、伝統のある「電気伝導度異常研究会」 のリーダーとして、30年以上にわたって同研究会の研究活 動や若手研究者の育成に尽くしてきた。
更に、地球内部電磁気学の研究成果として得られた知見を、地震予知・火山噴火予 知に生かすため、地震予知、火山噴火予知連絡会委員として、 防災対策などの分野においても大きな貢献をされた。
以上のように、本学会への多岐にわたる貢献や、地球内部電磁気学の発展に多大な 寄与をしてこられた、行武 毅会員に本学会は第22号長谷川 ・永田賞を贈り敬意を表すことにした。