太田柾次郎名誉会員の逝去を悼む
福島 直 名誉会員
太田柾次郎名誉会員(京都大学名誉教授)は平成10年10月18日に90才で逝去されました.
第二回国際極年(1932-33)の時に京都大学の長谷川研究室に入られた太田先生は,阿蘇における地磁気観測結果を解析して,有名な Hasegawa-Ota 論文に発表された輝かしい研究成果(Sq電流渦中心位置の逐日変動)を挙げられました.
本学会の前身である「日本地球電気磁気学会」が設立された頃の事情については,太田先生ご自身が『本学会創立当初の思い出』と題して会報第138号(1993.1.20)に詳しく述べておられます.1947-60年の間は,京都大学理学部地球物理学教室内で太田先生が献身的に学会事務を担当しておられました.1961年からは学会運営が新方式で行われ,第一期役員選挙で評議員と運営委員の両方に当選された太田先生は,強い責任感を発揮されて運営委員の方を選ばれましたことは深く私の記憶に残っています.
国際地球観測年(IGY,1957-58)に際しては,日本が南極地域観測事業に着手してからはIGY事業に関する内外連絡実務を太田先生と私が担当しました.1957年2月末から3月始めにかけてIGY西太平洋地域会議を開催する苦労を共にしたことなどが懐かしく思い出されます.
世界各地の地磁気観測結果を利用解析して多くの研究成果を挙げてきた日本の実績がひろく認められて,地磁気世界資料センターが京都大学に設置された時,太田先生は前田坦教授とともにこのセンターの発展に努力されました.世界磁気測量が1964-65年に実施された直後には太田先生が編集を担当して同センターから日本国内及び周辺の地磁気測量結果を纏めた立派な報告書が刊行されています.
1961年9月にInternational Conference on Cosmic Rays and the Earth Storm が,また1973年9月にIAGASecond General Scientific Assembly が何れも京都で開催された時には,太田先生は地元委員会の一員として会議出席者一同への奉仕役に徹しておられました.
私たちの学会でも研究組織でも,一方ならず太田先生のお世話になりましたことを思い起こし,ここに感謝の意を表しながら故人のご冥福を祈ります.