1. はじめに
  2. 地球磁場の分布
  3. 地球磁場の変動
  4. 地球磁場の成因

地球磁場の分布

 磁場はベクトル量であり,方向と大きさを持つ(図参照). ある場所での地球磁場のベクトルを F とする. F の大きさは全磁力と呼ばれる. F の水平方向の成分 H は水平分力と呼ばれ, 鉛直方向の成分 Z は鉛直分力と呼ばれる. 地理的北方向と H とがなす角を偏角と呼び D で表す. F が水平面となす角を伏角と呼び I で表す. また,H を北向き成分 X と東向き成分 Y とに分解して表現することもある.

 地球磁場の形状は,地球の中心に棒磁石を置くことによってよく近似される. 双極子磁場が卓越しているからである. 双極子磁場の双極子の軸は, 地球の回転軸に対して約 11°傾いている(図参照). しかし,実際の地球磁場は簡単な双極子ではない (図参照). 地表での全磁力分布図を見ると, 磁場が強いところでは 60,000 nT(ナノ・テスラ), 弱いところでは 26,000 nT であることがわかる. 日本付近の磁場の強さは 46,000 nT 程度である.

 地球磁場の分布を数学的に論じるときには, 球面調和関数が使われる(ここでは詳細を省く). そして電流の流れない空間では,磁場は磁気ポテンシャルの勾配によって表される. ガウス(Gauss)は地球磁場をこのように数学的表現することにより, 地球磁場の大部分は地球内部に起源があることを明らかにした. 地球磁場を表現するために使われる地磁気ポテンシャルの球面調和関数の係数はガウス係数と呼ばれる. 地球磁場の標準モデルに国際標準磁場(IGRF: International Geomagnetic Reference Field)がある. 地球表面だけでなく人工衛星などによる地球磁場観測の結果から, 地球磁場のモデルが決定され,ガウス係数で与えられる.

 地球のマントルを絶縁体と仮定すると, 地磁気ポテンシャルを用いることにより, 地球の核表面の磁場分布を推定することができる (図参照). 図を見るとわかるように,地表とは趣が異なり,分布は複雑になる. 核表面における地球磁場の鉛直成分の分布図の特徴は, シベリアの下部及びカナダの下部の磁場強い領域があること, 北極付近で磁場が非常に弱くなっていること, そしてアフリカ南部に磁場の向きが逆にあっている領域があることである. 地球の核表面における地球磁場の分布およびその 時間変化を調べることにより, 地球磁場の成因に関する情報を得ることができる.