1. はじめに
  2. 地球磁場の分布
  3. 地球磁場の変動
  4. 地球磁場の成因

地球磁場の成因

 「なぜ地球には磁場が存在するのか?」という問題は, アインシュタイン(Einstein)も最も重要な未解決の問題の1つとしてあげているほど困難な問題である. 地球そのものが永久磁石になっているという説は考え易いが, 地球磁場は一定不変ではなく変動しているし, 地球内部は非常に高温なので磁石としての性質を保つことはできない. 1947年にブラケット(Blacket)は巨大な回転体は磁場を伴うという説を提唱したが, 自ら実験を行い,これを否定した. 他にも様々な仮説が提唱されたが, 現在では,太陽磁場を説明するため, 1919年にラーマー(Larmor)によって提唱されたダイナモ作用が地球の磁場の存在理由と考えられている.

 「ダイナモ」とは「発電機」のことである. 地球内部でどのように発電されているのかを簡単に示そう. 地球は大きく地殻・マントル・核に分けられる. 地球の核の主成分は鉄であり,非常に電気伝導度が高い. 核は液体の外核と固体の内核とに分けられる. 磁場中を電気伝導性のある物質が横切ると起電力が生じる. 起電力が生じると電流が流れる. 電流が流れるとそれに伴って磁場が生成される. 生成された磁場が最初の磁場と同じであれば,磁場が維持されることになる. ただし,実際に起きていることはこのように単純ではない.

 近年のコンピュータの発達により, ようやく地球磁場生成を数値計算によって実現できるようになった. 次のようなモデルを考える. 回転している球殻内に電気伝導性の高い流体が満たされていて, 何らかの原因(エネルギー)によって対流している. このときに,流体の運動方程式,磁場の誘導方程式, エネルギーの方程式,そして状態方程式を解くことにより, 核内で何が起きているかを調べることができる.
 電磁流体が運動していなければ,磁場は拡散していきなくなってしまう. 流体運動が磁力線を引き伸ばすことにより,磁場のエネルギーは増加する. この磁場のエネルギーを増加する過程として, 地球が回転していることが重要である. 回転系では流体は回転軸と平行な方向に一様であろうとする. 回転球殻では柱状の対流が生じる(図参照). また,経度方向にずりが生じるような速度場も生じる. このような運動によって,磁力線が引き伸ばされ,そして曲げられて, 地球磁場が生成・維持されていると考えられている. しかしながら, 実際の地球と同じような状態をコンピュータ上で実現することはまだできていない. 今後の研究が期待されている.