太陽コロナ

太陽大気の最も外側の部分.温度は100万度以上あり,電離したガスで出来ている.高速で運動する自由電子が太陽光球の光を散乱するため,特有の白っぽい色に見える(白色光コロナ,またはCコロナ).太陽面に近い部分では,高度に電離した鉄などの原子が発する「禁制スペクトル線」が見られる.コロナの明るさは,大体満月程度であり,地上からは地球大気が太陽光を散乱するため,皆既日食のとき以外は,高山に設置したコロナグラフという特殊な観測装置を使用しない限り,観測不可能であり,それも太陽に近い明るい部分だけの観測に限られる.そこで現在では人工衛星にコロナグラフを搭載して,常時コロナの観測が行われている.

   図1SOHO衛星に搭載されているC1コロナグラフ(視野は1.1-3.0太陽半径)とC2コロナグラフ(視野は1.7-6.0太陽半径)によって撮影された太陽活動極小期(1996年2月1日)のコロナの合成写真を示す.太陽の赤道上に延びている明るい構造をストリーマと呼ぶ.

   図2にやはりSOHO衛星に搭載されたC3コロナグラフ(視野は3.7-32太陽半径)による,太陽活動極大期(2000年6月20日)に於ける広視野コロナ画像を示す.太陽の左側(東側)に見える明るい点は金星であり,背景には多くの星が写っている.いずれのコロナグラフにおいても,明るい太陽を隠す「人工日食」を起こさせるため,中央部に遮蔽用の円盤の影が見られることに注意.極大期のコロナは太陽を中心にして,あらゆる方向に拡がっている.このような太陽活動周期に伴うコロナの形状の変化は,コロナの磁場構造の変化を反映している.ストリーマが放射状に拡がって見えるのは,コロナが太陽風となって宇宙空間に流れ出しているためである.白色光コロナは殆ど透明であり,視線方向になるすべての構造が天球面上に投影された形で観測されるため,立体構造を考えた解析を行う場合には注意が必要である.同様の理由により,明るさは視線方向にある物質の量で決まるため,必ずしもコロナ温度の物質だけが観測される訳ではなく,爆発性プロミネンス(温度は約1万度)や,はるかに低温の彗星まで,区別無く観測されることに注意する必要がある.


 コロナを宇宙から観測する手段として,上述の白色光コロナではなく,高温のコロナが発するX線の観測があり,「ようこう」衛星に搭載された軟X線望遠鏡(SXT)によって1991年より連続観測が行われている.

   図3に太陽活動極大期の1991年11月12日におけるコロナのX線画像を示す.上述の白色光コロナグラフの場合は,明るい太陽を隠さなければならないため,太陽面の上のコロナは観測できないが(日食も同様),光球の出すX線は極めて弱いため,X線によると我々の「真っ正面」のコロナの観測ができる.X線画像に見られるコロナの複雑な形状は,コロナ磁場の形を反映しており,活動領域などの磁場の閉じた領域は明るく見える.また,X線画像に見られるコロナの明るさが暗い領域はコロナ・ホールと呼ばれ,開いた磁場構造を持つ領域に対応する.コロナの中には,CMEと呼ばれる爆発現象が時々発生する(別項参照).

○SOHO衛星ホームページ http://sohowww.estec.esa.nl/
○ようこうSXTホームページ http://www.lmsal.com/SXT/homepage.html

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