地球電磁気・地球惑星圏学会
第32期会長からのご挨拶

塩川和夫 
地球電磁気・地球惑星圏学会会長
第32期(2023年4月―2025年3月)に会長を務めることになりました塩川です。本学会は、電磁気現象を主な対象として、太陽圏・地球周辺の宇宙空間から地球内部まで、いわゆる地球惑星科学の全ての広大な領域を対象範囲としております。2020年には千葉県に由来するチバニアンという地質時代区分が決定されましたが、本学会員による地磁気逆転現象の優れた研究による成果です(日本地球惑星科学連合2018年大会 地球・惑星科学トップセミナー:岡田誠先生「チバニアンと地磁気逆転」- - YouTube)。また地球規模の地上拠点・多点観測網プロジェクトや、我が国が打ち上げて運用してきた「Geotail」、「ひさき」、「あかつき」、「あらせ」、「みお」など数多くの科学衛星プロジェクトで、本学会員が中心的な役割を担っております。本学会には英語のオープンアクセス雑誌Earth, Planets and Space(EPS)誌がございます。日本地震学会、日本火山学会、日本測地学会、日本惑星科学会との共同運営であり、日本地球惑星科学連合(JpGU)とも連携しています。地球科学の幅広い分野の論文を素早く掲載できる体制を整えており、近年特に評価を高めています。研究者の皆さまは、ぜひ優良な論文を投稿してください。本学会は、EPSの元となった歴史あるJournal of Geomagnetism and Geoelectricity (JGG)誌の発行元として、大きな責任を感じつつ、EPSの発展に貢献していきます。 本学会が対象領域とする地球電磁気・地球惑星圏科学は、真理の探究としての研究と、その実社会への応用という両側面から発展してきています。衛星測位や通信衛星に代表される宇宙利用の急速な発展や、気候変動、地震や火山噴火など社会生活に影響を与える現象の頻発に伴い、この実社会への応用という側面がますます重要になってきています。そのような中で、本学会が皆様の研究交流を促進させ、この分野の研究と応用をさまざまな新しい方向に発展させていくための一助になれば幸いです。また本学会が対象とする地球スケールの現象は、本質的に国際共同研究が必須の分野であり、我が国からの国際的な貢献も期待されています。引き続き当学会へのご支援をどうぞよろしくお願いします。 第32期会長 塩川和夫 現職:名古屋大学宇宙地球環境研究所 教授・所長
   国際学術会議ISC傘下のSCOSTEP(太陽地球系物理学科学委員会)会長
研究内容:地上からオーロラや夜間大気光に関連した光学・電磁場観測を行い、それを人工衛星による観測と組み合わせて、地球の電磁気圏・大気圏の変動を観測的に研究
本学会との関係:1988年から会員、運営委員(2009-2014年度)、評議員(2017-2020年度)、副会長(2021-2022年度)